<導入事例>
株式会社ニチダイ

精密鍛造金型のトップクラスメーカによる、
自社技術を起点とする新商品開発の取り組み。
シーズドリブンQD~TRIZ~タグチメソッドの連携活用

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ニチダイ伊東様と竹下様

株式会社ニチダイ

取締役副社長執行役員 伊藤直紀様 
新規開発プロジェクト 竹下和也様
背景

主要分野の自動車業界は大変革期にある。

オンリーワンの技術を究め、変化に対応して、ニッチな分野でもトップを走り続けたい

課題

「圧延+鍛造」の新工法でどのような新製品、新事業を生み出せるか、市場への出口を見通したい。

そのために必要な技術課題を明確にして開発に取り組みたい
 

効果

多くの用途を抽出し合理的に絞り込めた。市場での競争力・差別化のポイントが明確になり、製品化課題の解決の道筋も見えた。

このアプローチなら、誰もが確実に新製品を開発できる可能性がある

株式会社ニチダイ様(https://www.nichidai.jp/)は、⻑年培ってきた精密鍛造技術を駆使して、研究開発から部品製造まで精密鍛造に関するトータルソリューションの提供を⾏っています。
 

主に、自動⾞部品づくりには⽋かせない冷間鍛造⾦型を国内外の自動⾞メーカーや部品メーカーに供給しています。
 

大きな変革期にある自動車業界において、ニチダイにしかないオンリーワンの技術・商品を開発したいという強い思いから2018年にシーズドリブンQDTRIZタグチメソッド(TM)の手法を活用した新商品開発プロセスに取り組まれました。
 


今回はニチダイの取り組みについて、取締役副社⻑執⾏役員の伊藤直紀様(写真中央)と、新規開発プロジェクトの竹下和也様(写真左)のお二人に、弊社前古(写真右)がお話を伺いました。

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ニチダイ伊東様と竹下様

前古: 伊藤さん、竹下さん、本日はお忙しい中有難うございます。
まずはニチダイさんの会社と事業内容についてご紹介頂けますか?

 

伊藤様: 当社は1959年に創業し、創業事業である精密鍛造金型の国内トップクラスのメーカーとして成長することができました。現在では冷間鍛造金型の生産で培った技術をベースに、フィルタ事業、アッセンブリ事業といった新たな事業にも積極的に取り組んでいます。
 

フィルタ事業では、石油化学、医薬品、食品など多様な分野で使用される高機能金網フィルタを生産しています。アッセンブリ事業では、環境規制強化に伴い必要性が高まっているターボチャージャー部品の組み立てをしています。
 

そして主力のネットシェイプ事業では、精密鍛造金型を扱っています。また金型生産に留まらず、開発から鍛造ライン提供まで請け負うトータルエンジニアリングを提供しています。常温で切削なしに部品成形を行うネットシェイプと呼ばれる技術が当社のコア技術です。

大きく変化する世界で、オンリーワンの技術を究め、変化に対応することで、ニッチな分野であってもトップを走り続けたい

前古: そうした事業を展開されている中で、今回の取り組みにはどのような背景があったのですか?
 

伊藤様: 近年、当社の主要分野である自動車産業は、大きな変革期を迎えています。
 

環境問題・安全問題への対応を背景とした、電気自動車や自動運転の研究開発が注目を集め、世界各国において大きな流れとなっています。近い将来AIやIoTの更なる進化が予想されており、自動車産業のみならず産業界全体に大きな変化がもたらされるでしょう。
 

そのように大きく変化し続ける世界においても、ニチダイにしかないオンリーワンの技術を究め、変化に対応することにより、ニッチな分野であってもトップを走り続けたい、そんな思いが今回の取り組みの背景にありました。
 

現在の中期経営戦略で基本戦略として掲げている「既存事業の強靭化」と「次世代への挑戦(新規事業の立ち上げ)」への具体的な施策としての位置づけでもありました。

 

前古: 今回の取り組みは具体的にはどのように進めましたか?
 

伊藤様: IDEAさんのコンサルタントに入ってもらって、2018年度の一年間、一気通貫でシーズドリブンQD、TRIZからタグチメソッドのコンサルティングを受けました。
 

第1~2四半期にシーズドリブンQDとTRIZプロセスに4テーマで、その後第3~4四半期には、タグチメソッドの活用に3テーマで取り組みました。

「圧延+鍛造」の新工法がどのような製品、事業を生み出すことができるか、市場への出口をきちんと見通そう

前古: 今日はそのうち、新規プロジェクトのチームで取り組まれた内容についてご紹介頂きます。ではここからは、新規プロジェクトの竹下様にお話しを伺っていきます。
 

竹下様: 先ほど伊藤からご紹介したように、当社のコア技術であるネットシェイプ技術は、切削による仕上げ後加工なしで最終製品形状を製作できるのが特長です。それにより、材料コスト低減、工程削減、機械加工レスといったメリットが生まれます。
 

今回シーズドリブンQDにおける「技術シーズ」として取り上げたのは、厚みを薄くする工法である「圧延」と形状を作る工法である「鍛造」を組み合わせた、「圧延+鍛造」の新工法のコンセプトでした。
 

この新しいコンセプトの工法開発を推し進める上で、まず、新工法によりどのような新しい製品を生み出すことができるのか、どのような新しい事業を創出できるのかをしっかり考え、新工法開発の先にある市場への出口をきちんと見通そうと、シーズドリブンQDに取り組みました。

 

前古: 新しい工法により生まれる新製品や新事業の可能性と、その実現に必要な具体的技術課題を明確にして開発を推進しようと考えたのですね。
 

竹下様: 最初に取り組んだのは、「圧延+鍛造」の新工法コンセプトの機能・特長を抽出することでした。そのために、”新工法自身”が実現する「機能と特長」は何か、次に新工法の結果として実現できる”形状”から生まれる「機能と特長」は何か...その二つの視点から、機能・特長の発想を展開しました。
 

次にその「機能・特長」を生かせる用途探索をしました。
探索の方法ですが、IDEAさんから導入したGoldfireソフトウェアの意味検索を活用した用途探索と、特許のFタームコードリストを使って探索する、二つのアプローチを実施しました。
 

次に探索した結果から想定用途候補をリストアップし、各用途の事業性を、市場性と自社適合性の二つの視点から相対評価して、ターゲット用途を絞り込みました。
 

そして最も優先度の高い用途として絞り込んだ「車載用電池ケース」について、簡易的な品質表を作成して、車載用電池ケース用途におけるニーズの具体化と、当社の技術で商品化したときの価値訴求点の絞り込み、その価値実現のために解決すべき重点課題の抽出を行いました。
 

その後、均等肉厚や断面形状強度などの技術課題についてはTRIZで、圧延長さなどの生産性やロール径などの圧延鍛造条件の最適化に関する問題はタグチメソッドで問題解決に取り組みました。

多くの用途を抽出し合理的に絞り込めた...市場での競争力・差別化ポイントが明確になり、製品化課題の解決の道筋も見えました

前古: 実際に今回の新工法のテーマに取り組まれた成果はどう評価されていますか?
 

竹下様: まず、圧延と鍛造を組み合わせた新工法に対して,可能性のありそうな多くの用途を抽出できました。次にそれらの用途を絞り込む方法が明確になり,客観的に車載用電池ケースという用途を選択することができました。そして選択した用途の簡易的な品質表を作成することによって,車載用電池ケース市場での競争力・差別化ポイントが明確になりました。
 

今後は顧客の実際の声をもっと収集することで、品質表の精度を上げていきたいと思っています。
 

車載用電池ケースを製品化するために必要な技術課題も明確になり、それらの技術課題については、TRIZやタグチメソッドなどの体系的手法を活用することで解決の道筋が見えました。

「シーズ→機能→用途→商品企画」というアプローチなら,誰でも確実に新製品を開発できる可能性があります

前古: 伊藤さん、今回の取り組みについて、貴社における今後の展開や位置づけについてどのように考えられていますか?
 

伊藤様: 今回IDEAさんのコンサルタントと取り組んだ、「シーズ→機能→用途→商品企画」というアプローチであれば,誰でも確実に新製品を開発できる可能性があります。

今後は、当社が持つ他の技術シーズにも展開して、それを通してこのやり方を社内に定着していければ良いと思っています。

 

前古: 伊藤さん、竹下さん、今日はシーズドリブンQDとTRIZ、タグチメソッドを活用した貴社における新商品開発の取り組みについて、貴重なお話を聴かせて頂き有難うございました。

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あとがき

ニチダイ様とのインタビューの中で、中期経営戦略の「既存事業の強靭化」、「新規事業の立ち上げ」を実現するための具体的な施策として今回の取り組みが位置付けられる、というお話しがありました。

ニチダイ様の主力市場である自動車産業はもちろん、多くの業界や技術分野に大きな変革の波が押し寄せています。企業の開発部門や技術部門では、「変化に対応して、何をつくるか・どうつくるか」を発想するための企画構想力や課題解決力の組織的強化が求められています。

精密金型メーカであるニチダイ様の今回の取り組みは、”優れた技術は持っているが、将来の成長のためには今までの製品開発のやり方の延長では足りない”、そんな危機感、課題感を持たれている多くの企業にとって、刺激的な事例ではないかと思います。

今回の取材にご協力頂いた同社の伊藤様、竹下様の両氏に感謝します。

(本内容は、2019年12月時点のものです)

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