<導入事例>
小林製薬株式会社

「あったらいいな」を技術シーズ起点に発想する。
小林製薬の新しいアイデア創出への取り組み
~ シーズドリブンQD~Goldfireの活用 ~

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小林製薬株式会社

日用品事業
部付 戦略スタッフ 山中雅史様
パーソナルケアカテゴリー研究開発グループ 泉谷紗也佳様
背景

新製品はコンスタントに上市しているものの、それが市場に根付いて柱として成長するまでになかなか至らない

課題

技術シーズを新商品のアイデアに繋げていくことが研究開発部としての大きな課題

効果

研究開発部門が「技術シーズを、顧客価値に翻訳」することで、研究開発とマーケティング部門のより密接な協働を促し、事業部一体で新商品のアイデアを創出できるようにしていく

小林製薬株式会社様(https://www.kobayashi.co.jp/)は、「あったらいいなをカタチにする」のスローガンの下に、医薬品、芳⾹剤、栄養補助⾷品(サプリメント)、日用雑貨品などの分野で、様々な製品を提供し、現状の事業領域にこだわらず、より幅の広い「⼈と社会に素晴らしい『快』を提供する」という経営理念に基づいた事業活動を行われています。
 

世の中のニーズを先取りした製品開発を⾏うためには、「情報収集」と「アイデア発想」の方法を常に変化させていくことが必要と考え、2016年にIDEAからシーズドリブンQD手法コンサルティングとGoldfireソフトウェアを導入。
それ以降、「情報活用」と「アイデア発想」の様々なシーンでGoldfireを活用した取り組みを推進されています。
 

今回は小林製薬の取り組みについて、日用品事業部付 戦略スタッフの山中雅史様と、同事業部パーソナルケアカテゴリー研究開発グループの泉谷紗也佳様のお二人に、弊社前古(写真右端)がお話をお伺いました。

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前古: 山中さん、泉谷さん、本日はお忙しい中有難うございます。
小林製薬さんとは2016年からのお付き合いになります。当時最初にシーズドリブンQD手法とGoldfireソフトウェアを導入されたとき、その背景としてはどんな課題感があったのでしょうか?

 

山中様: 毎年リリースする新製品の数が多いというのが当社の特徴のひとつです。しかし新製品が売上全体に占める割合は目標に達していないのが現状です。新製品はコンスタントに上市しているものの、それが市場に根付いて柱として成長するまでになかなか至らない、それが大きな課題です。
 

新製品開発としては、当社では、ユーザインで新商品のアイデアを出す手法は、マーケティングだけでなく研究部門にも根付いています。まずお客様のことを考え、「こういう人がこんな問題を抱えているから、こういうアイデアをソリューションとして提供しましょう」というアプローチです。
 

それ自身に問題があるわけではありませんが、新商品のアイデア創出のやり方がそれ一辺倒になっていることには当時問題意識を持っていました。特に私が所属していた研究開発部では、日々展示会や原料メーカなどから色々な技術やシーズの提案があります。そうした技術やシーズをアイデアに繋げ辛いなという自覚があり、それが研究開発部としての大きな課題でした。また弊社は「アイデアの会社」としての自前意識が強く、アイデアに他社の力を借りることやアイデアの出し方を外部から学ぶということにはそれまで消極的でした。 

技術シーズを新商品のアイデアに繋げていくことが研究開発部としての大きな課題でした

そこでこの二つを掛け合わせて、技術シーズを商品アイデアに繋げること、そのやり方に長けた他社の力を活用してみようと考えました。
 

2016年は研究開発部に新製品開発特命チームが発足した時期でもあり、上司の部長と色々なコンサル会社の話を聴いて、私たちの課題解決を支援できるパートナーを探していました。そんな中でIDEAさんに辿り着きました。とにかくリアクションが速くて、ホームページで資料請求をしたら15分もしないうちに営業の鹿倉さんから「会いませんか?」というメールが送られてきたのを今も覚えています。それで数日後に都内のカフェでミーティングすることになりました。それがIDEAさんとの始まりです。

 

前古: ところで、貴社の製品を改めて見てみると、「ブルーレット」、「熱さまシート」、「消臭元」、「命の母A」など、本当に昔から誰もがブランド名を知っている商品がいくつもあります。そうした長寿命の商品が売上に占める比率はどのくらいあるのでしょう?
 

山中様: 先ほどお話したとおり、新製品が売上全体に占める割合は目標に達していません。逆に言えば、売上の多くを、既に商品ブランドが確立した既存製品に助けられているのが現状です。そこは製品開発を担う我々としても危機感を持っています。

 

前古: では、実際に当時シーズドリブンQDのコンサルとGoldfireソフトウェアを導入されて、それらの活用が貴社の課題に対してどのようにフィットしたかお話頂けますか?
 

山中様: まずコンサルタントの笠井さんの指導を受けながらスタートしましたが、シーズドリブンというのは“使い甲斐がある”というか、本当に今までの当社にはない手法だなというのは実感しました。
 

ただ、いきなりシーズドリブンQDのフルプロセスを社内で推進するのは現実的ではないのではとも感じました。そこでコンサルを一度受けた後、我々新製品開発特命チームの中で、色々な題材を変えながら、自分たちだけでも同じ結果が出るのかをだいぶ時間をかけて検証しましたね。そうした中から社長プレゼンに繋がったアイデアなども出てきて、我々としては使っていきたい手法だと確信しました。
 

しかし社内には先ほどお話したような自前意識もあり、社外から取り入れた仕組みに対する拒否反応も当然予想できました。ですから、社内での推進は少しずつ賛同してくれるフォロワーを増やすことから始めました。

シーズドリブンというのは、本当に今までの当社にはない手法だなと実感しました

前古: 小林製薬さんでは、最初にシーズドリブンQDのコンサルを受講された後、マンダラートフォーマットを使ったシーズ機能展開など、御社なりの様々な工夫を加えながら社内展開を図られている印象があります。
御社の商品開発や研究開発におけるアイデア創出のプロセスの中で、シーズドリブンQDやGoldfireの活用はどういう位置づけにあるのでしょう?

 

山中様: 当社では、社内の共有フォルダに蓄積されている情報をGoldfireで知識ベース化しています。特許や文献などの社外情報の知識ベースと合わせて、多くの研究者が技術情報を効率良く探すためにGoldfireを普段からよく利用しています。
 

例えば「何かを冷やす製品を開発する」というテーマを持つ研究者が、入り口の段階で「冷却する技術として、世の中にはどんな技術があるのか」を広くリサーチしたり、何かピンポイントの課題があるときに、その解決策の過去事例情報をダイレクトに検索したり、そんな使い方が多いです。
 

そういった日常的な活用の仕方でGoldfireに馴染んだ研究者の中から、まだ少数ではありますが、我々が本当に推進したい「着目している技術シーズを展開して、新商品のアイデアに繋げる」ことにチャレンジするメンバーが出てきています。

 

前古: そういう形で展開を進められてきて、その効果についてはどう評価されていますか?
「期待していたほどの効果が出ない」なのか、逆に「いやこれはいい道具を手に入れたぞ。どんどん展開していきたい」なのか。

 

山中様: まず情報を効率良く探し出す使い方については、既に社内でもGoldfireの活用が浸透してきています。社内で「必要な情報がどこにあるのか分からない」というような時、「だったらGoldfireで一度探してみれば?」というのを合言葉のように耳にするようになりました。

「必要な情報がどこにあるのか分からない」、「だったらGoldfireで一度探してみれば?」が合言葉に

一方、本当に進めたい「技術シーズから新商品アイデアへの展開」については、まだ人によって評価はまちまちで、これからというところです。「そんなやり方に頼らなくてもアイデアは出せる」と拒否反応を示す人もまだいますし、逆に新しいやり方にも抵抗なく取り組んでくれる人もいます。
 

成功事例として、実際にシーズドリブンのアプローチを使って出したアイデアで、研究開発テーマとして通ったアイデアもありますが、それらのアイデアの実際の製品化フェーズは未だこれからなので、我々としては成功事例を少しずつ積み上げながら、フォロワーを増やしてくことが大切だと思っています。

「技術シーズから新商品アイデアへの展開」については、成功事例を少しずつ積み上げながらフォロワーを増やすことが大切

前古: 小林製薬さんでは、様々な方が活用されていますが、キャリア的にはベテラン、中堅、若手のどの年齢層の方が多いのでしょうか?
 

泉谷様: 真ん中の層が多いですね。その層の人間が使い出してうまくいったことを、彼らから若手に展開していく、そういうパターンが多いです。
 

山中様: 日用品事業部の場合、全体として年齢層が若いです。20代と30代の社員が構成比で言うと75%を占めています。この取り組みについては、20代後半から30代前半くらいのメンバーが震源地となって、そこから波及させていくという感じです。
 

泉谷様: ただ一概には年齢で語れないところもあります。ベテランでも新しいものへの好奇心旺盛な方は積極的に使ってくれています。

 

前古: お二人は日用品事業部に所属されていますが、他の事業部へも展開されているようですね?
 

山中様: 他の事業部では、まずGoldfireで社外・社内から必要な情報をピックアップしそれを開発に生かすという使い方から展開しています。技術シーズを起点にそこから新商品のアイデアへ展開するという取り組みについては、現状は日用品事業部が多く、他事業部への展開はこれからです。

 

前古: 推進メンバーとして、取り組みに消極的な人たちにはどう対峙されてきたのでしょう?社内の理解を得るためにどのような点を重視されてきましたか?
 

山中様: やはり実績づくりです。そして実績を評価する上で、単に何件のアイデアが開発テーマとして通ったかという結果視点だけでなく、“アイデア創出のプロセスをどう変えてきたか”というプロセス視点でも実績を示すように努めてきました。アイデア自身だけでなく、どういうプロセスでそのアイデアが出てきたかを社内に示していくことも大切だと思います。
 

泉谷様: 抵抗感を示す人もまだまだ多いですが、実績を示していくことで、少しずつ前向きに考えてもらえるようになるのではと期待しています。なかなか理解されない苦労もありますが、社内でGoldfireを使って情報をうまく探したり、私たちが展開しているプロセスでアイデアを創出する人が出てくるのを見ると嬉しいですね。

シーズドリブンの考え方とGoldfireを活用し、研究開発部門が「技術シーズを、顧客価値に翻訳」することで、研究開発とマーケティング部門のより密接な協働を促し、事業部一体で新商品のアイデアを創出できるようにしてきたい

前古: 最後になりますが、お二人からIDEAに期待されること、また今後の展望についてお聞かせください。
 

山中様: IDEAさんに期待することとしては、やはり推進と実績づくりをサポートして頂きたいに尽きるかなと思います。長くお付き合いする中で当社の事情や課題もご存知だと思うので、今後もこの活動の推進と実績づくりを支援お願いします。
 

また、シーズドリブンの考え方とGoldfireを活用し、研究開発部門が「技術シーズを、顧客価値に翻訳」することで、研究開発とマーケティング部門のより密接な協働を促し、事業部一体で新商品のアイデアを創出できるようにしてきたいですね。

 

前古: 山中さん、泉谷さん、今日はシーズドリブンQDとGoldfireを活用した貴社におけるアイデア創出と情報活用の取り組みについて、貴重なお話を聴かせて頂き有難うございました。

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あとがき

小林製薬様では、従来からの「市場ニーズ→商品企画」を補完する新製品開発アプローチとして、「技術シーズ→機能→新しい価値→新商品アイデア」というアプローチに取り組まれています。シーズドリブンQD手法の考え方とGoldfireを活用し、研究開発部門が「技術シーズのポテンシャルを、顧客価値に翻訳」することで、マーケティング部門とのより密接な協働により、事業部一体で新商品開発を推進していこうとされています。

自社が保有する技術を如何に効果的に事業に繋げていくかを模索されているR&Dや製品開発部門の方にとって、きっと触発されることの多い話だったのではないでしょうか。 

今回の取材にご協力頂いた同社の山中様、泉谷様の両氏に感謝します。 

(本内容は、2020年2月時点のものです)

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