<導入事例>
リバーエレテック株式会社

自社のユニークな技術を活かせる新規事業機会の創出。
シーズドリブンQD手法とGoldfireを活用した水晶共振子の用途開発

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リバーエレテック芦沢様

リバーエレテック株式会社

商品開発部 
芦沢英紀様
背景

画期的な新技術は高く評価されたが、商品化後の販売が進まず。3年に渡り事業化が停滞。

技術開発は得意でも新市場の開拓では壁にぶち当たっていた

課題

高スペックが災いして、既存市場(用途)との接点が見つからない、従来顧客にプレゼンしても反応が薄い

効果

シーズドリブンQDのシステマチックなアプローチなら、新技術を新しい事業の創出に繋げられると確信。

3年間停滞していた新技術の事業展開が動き出した

リバーエレテック株式会社様(http://www.river-ele.co.jp/ja/)は、水晶振動子、水晶発振器を中心とした電子デバイスメーカーです。業界において小型化をリードし、小型・高性能・高品質を支える技術を培ってきました。
 

同社が2014年に発表した高周波帯で超高精度の「水晶Lamb波共振子」は、技術的には高く評価されたものの、従来にない高性能が逆に災いして、既存用途の顧客ニーズとのマッチングが難しく3年間に渡り商品化後の販売が進みませんでした。
 

そこで2017年にシーズドリブンQDプロセスのコンサルティングを実施し、体系的な開発手法とイノベーション支援ソフトウェアGoldfireの活用により、新技術の機能・特性を活かせる新規事業機会の創出に取り組まれました。
 

今回はリバーエレテックの新規事業創出の取り組みについて、商品開発部次長の芦沢英紀様(写真右)に、弊社前古(写真左)がお話を伺いました。

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リバーエレテック芦沢様と前古

前古: 芦沢さん、本日はお忙しい中有難うございます。
まずはリバーエレテックさんの会社と事業内容についてご紹介頂けますか?

 

芦沢様: 当社は1949年に山梨県韮崎市で創業しました。創業時の抵抗器の製造に始まり、一貫して魅力的な電子デバイスを開発し市場に提供することに努めています。特にSMDタイプ(表面実装型)の小型水晶デバイスでは、業界のリーディングカンパニーとして独自のノウハウを蓄積し、多くの顧客から「小型ならリバー」を言われるような信頼を築いてきました。
 

当社の主力事業である水晶振動子は、安定した周波数を維持し、規則正しい基準信号を作り出すデバイスです。水晶デバイスは、多種多様なエレクトロニクス製品の中でいわば「オーケストラの指揮者」の役割を担う、なくてはならない重要なデバイスです。

技術は高く評価されたが、商品化後の販売が進まず...技術開発は得意でも新市場の開拓では壁にぶち当たっていた

前古: では、今回の貴社の取り組みには、どのような背景事情があったのでしょうか?
 

芦沢様: 水晶デバイスの市場においても、商品ライフサイクルがどんどん短くなり、新商品の魅力的品質もすぐに陳腐化し当り前品質になってしまうという状況があります。また当社は「小型ならリバー」というように小型軽量化技術を得意としてきましたが、その小型化要求が3~4年前から突然なくなりコストダウン要求のみが強くなりつつありました。そんな背景があり、新しい技術と新市場の開拓が急務だったという事情がありました。
 

そうした状況の中、2014年に高周波帯の超高精度共振子である水晶Lamb波共振子の開発に成功し発表しました。当社が長年培ってきた設計技術・ノウハウ、製造技術を活用して開発した製品で、従来にない高周波特性と周波数安定性を両立した画期的なものとして、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)でもその技術は高く評価されました。
 

しかし技術としては高く評価されたものの、その後の市場の反応はほとんど無く、商品化後の販売が思うように進みませんでした。
 

現実には、新市場を開拓しようにもスペックが従来品と違い過ぎて、既存市場(用途)との接点が見つからない、従来顧客にプレゼンしても反応が薄い…そんな状況が3年に渡り続いていました。
 

技術を開発するのは得意でも、新市場の開拓では壁にぶち当たっていた…そんな状況でした。

シーズドリブンQDのシステマチックなアプローチなら、水晶Lamb波共振子を生かした新しい事業の創出に繋げることができそうだと確信しました

前古: そんな状況の中で貴社がシーズドリブンQDに取り組んだのは、どのようなきっかけがあったのですか?
 

芦沢様: 新市場の開拓が進まず悩んでいたときに、知人の紹介でIDEAユーザミーティング2017に参加したのが直接的なきっかけです。
 

そこで、QFDやTRIZといった体系的開発手法の考え方とGoldfireソフトウェアの知識検索機能を活用した「シーズドリブンQD(品質展開)」というシステマチックなプロセスがあることを知って、正直「衝撃」を受けました。
 

このシステマチックなアプローチなら、私たちが開発した水晶Lamb波共振子の機能・特性を生かせる新しい用途を見つけ、新しい事業の創出に繋げることができそうだと確信しました。
 

 

前古: では、貴社で実施した具体的な取り組みについてお話し頂けますか?
 

芦沢様: 2017年10月にIDEAユーザミーティングに参加し、その年の12月にはIDEAのコンサルタントに入ってもらって取り組みをスタートさせました。
 

2017年12月から2018年4月にかけて計5日間のシーズドリブンQDコンサルティングプログラムを実施し、並行してGoldfireの利用テクニックを習得するためにIDEAで開催されているGoldfire知識検索スキルアップセミナー5回コースを受講しました。
 

5回のコンサルティング指導の中では、最初にテーマと背景、取り組みの目標とアプローチ方法について参加メンバー内で確認し共有しました。
 

その上で、まず水晶Lamb波共振子の機能・特長を、超高周波性、温度特性、経年変化、耐衝撃性、周波数精度、選択性、送受信性といった技術特性ごとに抽出しました。その時、各特長を「機能とその達成のレベル(S+V+O)」の形で明確に表現することがポイントのひとつでした。
 

次に機能・特長表現からGoldfireで知識検索するための「検索クエリ」を導き、クエリを展開しながら、Goldfireを使って「機能・特長」を生かせる「用途」を探索しました。
 

知識検索を使いながら特許や文献情報から我々の製品の特性にマッチする使い方のキーワードを探して有望な想定用途を選択し、さらに選択した想定用途を事業性と自社適合性で相対評価して優先的に取り組む用途を絞り込みました。
 

次に、絞り込んだスマート農業とエアロスペース無線の二つの用途について簡易的な品質表を作成し、各用途における顧客ニーズと顧客価値の訴求・差別化のポイント、技術課題を検討しました。
またGoldfireを使って、具体的な想定顧客企業と企業が持つであろう課題を調査しました。

プレゼンをしても顧客の反応が全く違い、実際に契約も取れ始めています。3年間停滞していた新技術の事業展開を、シーズドリブンQDで動かし始めることができました

前古: 今回のコンサルティングを通して取り組まれた結果は、その後どのように活かされたのですか?
 

芦沢様: シーズドリブンQDプロセスの結果から、最終的なターゲット市場を航空宇宙無線に絞り込みました。
 

ノイズの少ない無線周波数を発生するため、通信環境が良くない場でよりこの製品を訴求できると考えました。そして簡易品質表で分析し仮説を立てた顧客ニーズ、訴求・差別化のポイントに基づいてプロモーション活動用の資料を準備し、社内の体制を整備しました。
 

またGoldfireのデータベースで調査した結果から、アプローチするターゲット顧客を北米のエアロスペース企業に絞り込みました。
 

そのように準備してアプローチを開始すると、プレゼンをしても顧客の反応が全く違い、実際に契約も取れ始めています。3年間停滞していた新技術の事業展開を、シーズドリブンQDで動かし始めることができました。


 

前古: 芦沢さん、今日はシーズドリブンQDとGoldfireを活用した画期的な新技術の新規事業展開の取り組みについて、貴重なお話を聴かせて頂き有難うございました。

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あとがき

何年もかけてようやくモノにした新しい材料や新しい技術、それらをどのように事業に繋げていくか、なんとかスムーズに市場への出口を見い出したい...シーズドリブンQDのプロセスは体系的なプロセスと最先端の知識検索ツールを活用して、この課題にシステマチックに取り組むアプローチです。

IDEAのクライアント企業の多くも、このプロセスを活用して「自社技術や材料を活かした新規事業機会の創出」に取り組まれています。

今回の取材にご協力頂いたリバーエレテックの芦沢様に感謝します。

(本内容は、2020年1月時点のものです)

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