DX(デジタルトランスフォーメーション)成功の鍵はUX(ユーザー体験)にある!(前編)
こんにちは、IDEAの緒方です。
DXを推進しているけど、今一つ成果が見えない
最近、あちらこちらの企業で導入されているDX(デジタルトランスフォーメーション)。DX推進部署を設けている企業も多いようですね。
DXというと、一般的には、企業内でのシステム化の推進、これまでアナログで行ってきた業務をデジタル化して効率化することと考えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、DXを謳い文句にしたシステム・コンサルティング会社に業務を丸投げして、最新のシステムやツールを導入したものの、成果につながらない、既存の業務フローも残っているため、2つのシステム・ツールを使うことになり二度手間でかえって時間がかかる。社員からそんな不満が出て悩んでいる推進者やマネージャーの方も多いのではないでしょうか?
最近DXが進むにつれて、こういった失敗例も増えているようです。
DX導入の目的は?
自社の事業価値を真剣に考える
改めてDX導入の目的を考えてみましょう。
経済産業省が公表しているDXレポート(※1)での定義では、「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立することこと」とあります。
つまり、ITツールを活用したデジタル化による業務の効率化に留まるものではなく、組織や企業文化に至るまでの変革を起こして新しい価値を生み、競争力を高めて成長につなげることがDXの真の目的ということになります。
※1 経済産業省 「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」(平成30年9月7日)
最適なデジタル環境を考える上で注目されるUXとは?
顧客や自社の従業員と、デジタルテクノロジーの接点を考える
そのような中で 、DX導入が進むにつれて最近注目されてきたのがUXです。今年になってDXとUXを一緒にしたタイトルのネット記事や書物をたくさん目にするようになりました。そういった記事を見てみると、
- 従業員のことを考慮せずにやみくもにデジタル化をしても、業務の効率化もコストの削減もできない
- 社内で使うシステムなら従業員の声に、市場に向けたサービスであるのなら顧客の声に耳を傾ける
- DXで着目すべきデータは属性データから行動データの時代へ
- DXには、すべての企業に共通する正解があるわけではない。自社の事業価値を真剣に考える
・・・・・といった記事が目に入ります。
どうやら、DXを進める前にやるべきことがあって、DXの社内ユーザーである従業員の声や、更に自社の顧客を意識して、どんな行動をするのか?どんな価値を提供できるのか?をしっかり考えてから、自社に合ったデジタル化を考えるべきと言っているようです。上述のDXの真の目的に照らせば頷ける内容ですね。
このように、DXに取り組む際は、自社にとって最適なデジタル環境とは何か?を徹底的に考え抜く必要がありそうです。
その際のポイントとなるのが、顧客や従業員とデジタルテクノロジーとの接点を時間軸の行動プロセスで考えるUX(ユーザー体験)ということで、今、DX推進者やマネージャーに注目され始めてきました(図1)。
DXとUXちらも「X」がついているので覚えやすいですね。しかし、UXのXは 「Transformation」 ではなく「Experience 」の意味です。UXとは「User Experience」を表していて、ユーザーが製品やサービスを通じて得られる体験のことです。最適なデジタル環境を考える上でのカギと言えるでしょう。
DXも判りにくいのに更にUX?
UX(ユーザ体験)を理解するにはどうしたらいい?
DXも難しいと思っているところへ、今度はUX? 行動分析? バリュージャーニー?・・・ますます判らない、どこからどうやって手を着けたらいい? やったことがないのでDXやUXの外部専門家に丸投げするしかないのか、と迷っていませんか?
しかし、先にも述べたように“業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革する”のは自社のことであり、DXによって価値を提供する対象は自社の従業員であり、自社の顧客なわけです。
自社に合ったDXは何か? 自社の顧客に価値をもたらすDXは何か? を自社でよく考えて議論しながら進めていかないと、社員や顧客の納得感も得にくいし、投資の割りに成果が見えないということに陥りそうです。
自分達自身、自分の会社、自分の会社の顧客のことは、他人任せにしないで、自分たちでしっかりと考えられる、そんな「ユーザー体験価値を考えられるスキル」がこれから重要になっていくはずです。
iQUAVIS IDEA Packageを使えば、誰でも自社や顧客業務プロセスのUXニーズ分析ができる!
UXの考え方に沿って、社内業務や顧客対応のフローを分析し課題を抽出したり、社員や顧客の潜在ニースを抽出するのは、専門家でないと難しいと思っている方、私たちの「課題分析+UXニーズ分析プログラム」のコンサルティングを受けて「iQUAVIS IDEA Package」というソフトウェアを使ってみてください。
IDEAの“「機能」で考える”目的別課題解決プログラムの課題分析ツールとして使うソフトウェア「iQUAVIS IDEA Package」は、ユーザーの顕在ニーズや潜在ニーズを把握し、システムの課題を抽出するための道具として紹介しています。そのため技術開発者向けのツールと思われる場合も多いですが、実は様々な業務分析にも使うことができます(実際に弊社のクライアント企業でも、品質問題の再発防止で、業務分析を行った事例もあります)。
実際には、どのようにして業務分析をするか、以下に概要をご紹介します。
(1)業務を空間軸と時間軸でみえる化する
“「機能」で考える”目的別課題解決プログラムでは、課題を空間軸と時間軸で多面的に捉えることで、正確に把握します。業務分析を行う場合は、空間としては社内の組織や、社内に導入されているシステムを設定します。また時間としては業務のフローを時間ステップことに記載します。取り組み範囲は社内の業務に限らず、商品やサービスを顧客に提供するプロセスまで拡張することができます。
(2)組織や業務プロセスの本来の目的を明らかにする
空間軸で組織やシステム、時間軸で業務フローを書き出して、みえる化できたら、各組織やメンバーの役割、各業務プロセスを実施している目的を考えます。
これは私たちのプログラムで「機能分析」といいます。組織の役割や業務の機能を、S(主語)+V(働き)+O(目的語)で表現することで、本来の存在目的、つまり「何のためにその組織、プロセスはあるか?」を意識しながら把握します。これは、社員にとって、日ごろの業務や目標を再認識する上でも重要なプロセスです。
(3)業務フローを通して顧客に提供したい価値を考え、目標(GOAL)を設定する
業務フローを通して顧客に提供するサービスや商品が、顧客どのような価値を提供できるか?顧客が大切にする価値観とは何か?を考えながら、上記(2)で分析した業務フローの最終GOALを決めます。自社内の効率アップが最終目標とすることもできます。その場合は従業員がどんな価値観を大切にしたいかを考えます。
(4)各プロセスでの従業員や顧客のニーズを想定し優先度の高いものを絞る
この業務フローの最終GOALを実現するためには、フローの各段階(プロセス)の目的に照らして、何を考え、どんなニーズがあるかを業務プロセス毎に想定していきます。想定の基本は「本来の目的を理想的に高めたい、理想的に進めると出て来る障害や心配点を減らしたい」ですが、そこにGOAL、価値観に照らした背景感情から出て来るニーズも加えます。
想定されるニーズは沢山出て来るので、現状との乖離が大きいもの、競合他社と比べて劣っているといった観点で絞り込み、優先度をつけます。
(5)優先度の高いニーズを満たす対策案を考える
優先ニーズを対策する内容がデジタル化により効果的に実現できそうなものはDX案件としてまとめます。それ以外にも社内規則や文書の改訂、手書きでも帳票類のフォーマット工夫で対策できるものもあります。また、課題を解決するために多くのアイデアを出すプロセスが必要な場合は当方のTRIZプロセスに繋ぐこともできます。
いかがでしょうか?
上記のステップはIDEAの商品企画で使う「課題分析+UXニーズ分析プログラム」を業務分析に使った場合の概略のフローです。DXやUXの専門家でなくとも、このフローと支援ソフトウェアiQUAVIS IDEA Packageを使うことで誰もが容易に実践し、UXで変革する対象となる自社内の業務や顧客業務プロセスを分析できます。
次回は、もう少しUXの話やiQUAVIS IDEA Packageを紹介させていただきながら、UXニーズ分析の流れを説明したいと思います。
緒方@IDEA
→目的別課題解決プログラム支援ソフトウェア iQUAVIS IDEA Packageについて読む
参考書籍
“「機能」で考える”目的別課題解決プログラムの内容に関連して、緒方の著書2冊が刊行されています。