技術者のためのイラストレーション講座 ~基礎編~(2)
こんにちは、IDEAの笠井です。
前回は、発想したアイデアを図やイラストで表わすことの意味をお伝えしました。
今回から、いよいよ描き方の説明に入っていきます。その際、私の説明を読むだけではなく、ご自身で実際にメモ用紙などに描いてみてください。肩の力を抜いて描いてみれば、すぐに上達するはずです。ここからは便宜上、図やイラストのことを“線画”と呼ぶことにします。
【ステップⅠ】-思いどおりの線を描く-
先ず直線を引く練習をしてみましょう。単に線を引くのは誰でも簡単にできます、まっ直ぐに引くのは意外と難しいものです。子供に教えているようだなどと言わずに、下の図のように、横に、縦に、斜めに、それぞれ何度も引いてみて、直線を引くことに慣れてください。この時、以下の二点を意識しながら練習してみてください。
- 引き始め(始点)と終わり(終点)を意識して :アイデアを付箋紙に描く場合は線が短いので失敗することはないと思いますが、長い直線を引くときには注意が必要です
- スピードを一定にして :筆記具や用紙の種類によっては、スピードが変わるとインクで線がにじんでしまうことがあります
思いどおりの直線が引けるようになったら、今度は円を描いてみましょう。大きい円はなかなかうまく描けないと思いますが、小さい円は何度か練習すれば思うように描けるようになるはずです。円の場合は以下の三点を意識してください。
- 始点と終点がズレないでつながるように : 描きながら終点の位置を意識してください
- スピードを一定に : 直線の場合と同じです
- 正方形を意識する : 円はその直径の長さを一辺とする正方形に内接しますから、描く前に正方形の大きさを想定すると円の大きさが決まりやすく、形が歪みにくいです
いかがですか、円を歪みなく描けるようになりましたか? 直線と円は線画の基本になりますから、これらが思いどおりに描けるようになるまで練習しましょう。
ここまでできたら次は立体の描き方になりますが、その前にちょっと一休みして皆さんの身の周りを見回してみてください。
どうでしょうか、直線で構成されたものはたくさんあると思いますが、視覚的に円に見えるものはありますか?
茶碗やコーヒーカップ、丸盆などの日用品や、缶飲料、スプレー缶、ペットボトルなどの容器類、そして掃除機の車輪や炊飯器の釜など、多くの家電品や部品などで円形のものは多いと思います。しかしそれらは正面から見ると円形であっても、通常は下の図のように斜めから見ることが多いので、ほとんどの円は楕円に見えているはずです。つまり、立体を描くときに多く使われる線は、直線と楕円なのです。
次回からは、直線や楕円を使って、奥行きのある立体が自然に(正しく)見える描き方のコツをお伝えします。
笠井@IDEA