IDEA-TRIZ『Toolbox』第4回: ”実務で使える【発明原理】”のための、IDEA-TRIZ Toolboxの工夫
こんにちは、IDEAの片桐です。
今回からはTRIZの代表的な発想ツールである【40の発明原理】についてお話します。
IDEA-TRIZ Toolboxのメインメニュー画面
IDEAが開発したTRIZ発想支援ソフトウェア「IDEA-TRIZ Toolbox」の【40の発明原理】は、合理的、かつ効率的に“優先する発明原理を抽出する”ことにより、ユーザがアイデア発想に集中できる環境を実現しています。今回はそのあたりを中心にお話しします。
発明原理とは
発明原理とは、技術的矛盾を内包する問題(トレードオフ問題)を解決するための発想ツールです。そもそも技術的矛盾とは何でしょう?
例えば、昔、黒板やホワイトボードに描かれた字や図を指すために指し棒という道具がありました...レトロ!(;^_^A)
離れたところから確実に指し示すために棒を長くすると、大きくなってしまいポケットに入らないし、持ち運びが不便になってしまう。
このように、こちらを立てればあちらが立たず、といったケースを、技術的矛盾といいます。
ちょっと意識すると皆さんの身の回りには、このような技術的な矛盾問題がたくさん存在することに気づかれるでしょう(取り組む問題を矛盾問題と認識しないまま改善策を実施したとき、見落としていた悪化する特性がクレームを引き起こす例は枚挙にいとまがありません)。
TRIZ創始者のアルトシュラーは、このような矛盾問題に対して、折衷案によって妥協せずに、根本的、本質的に解決した特許に注目しました。
膨大な数の特許を分析することで、その解決方法をパターン化し、40個の発明原理として集約しました。それがTRIZの【40の発明原理】です。
また、対立する矛盾特性にはどのような特性があるかを一般化して【39の特性パラメータ】に集約し、この特性とこの特性が矛盾している場合には、この発明原理によって解決策が発想されることが多い。という統計データに基づいて、【矛盾マトリクス】を定義、どの発明原理があなたの問題の解決に役立つか、提案してくれるシステムを作り上げました。
なぜ”発明原理は使いにくい”?
ところが、実務で【40の発明原理】を使おうとすると、
- 矛盾問題を定義→
- 改善する特性と悪化する特性を【39の特性パラメーター】から選択→
- 矛盾マトリクスから優先する発明原理を導出→
- アイデア発想
という一連のステップを踏むのが面倒で、いきなり④の発明原理を使ってアイデア発想から始めてしまう、というスタイルが多いように感じます。
特に、②39の特性パラメーターを選択する部分と、③矛盾マトリクスから発明原理を導出する部分がボトルネックとなっているようです。
そうなる原因としては、
- ぴったり合致するパラメーターが無いときにどのパラメーターを選択するか悩む
- 改善と悪化の両方のパラメーターを選ばないと発明原理が導出されない
- 39 x 39の矛盾マトリクスから手作業で発明原理を導出するのは煩雑で非現実的
- 苦労して導出された発明原理がピンとこない場合がある
などが考えられますが、せっかくの”発明原理提案システム”を使わず、40もある発明原理を総なめにするのもいかにも効率が悪いです。思考が分散することにより、うわべだけのアイデア出しにとどまり、優れたアイデアも出難いと思われます。
IDEA-TRIZ Toolboxの、【40の発明原理】の使いやすくするための工夫
【40の発明原理】を使う上でのそんなボトルネックを解消するために、IDEA-TRIZ Toolboxでは、次のような工夫を凝らしました。
- 改善する特性と悪化する特性を選択すると、39 x 39の矛盾マトリクスを参照して、優先すべき発明原理が絞り込み表示される。
- 改善する特性、悪化する特性のうち、片方の特性だけ選択しても、優先される発明原理が表示される(優先度と出現頻度によって発明原理をソートして表示)
- 応用として、矛盾を内包しない改善問題(不足する作用を強化したいとき、有害な作用を抑制したいとき)にも適用して効率的にアイデア出しが可能
こうした工夫で、合理的、かつ効率的な“優先する発明原理の抽出”が可能になりました。
特定の発明原理をしゃぶりつくす感覚で、徹底的にアイデア出しに集中できるので、画期的なアイデアが出やすい環境が生まれます。
IDEA-TRIZ Toolboxを使うことで、ビッグデータとも言える膨大な特許情報を先人たちがマンパワーで分析して作り上げた発明原理と、あなたの問題における優先的に適用すべき発明原理を導出する矛盾マトリクスシステムを活用し、心理的惰性(自分の経験や常識に縛られる)を打破して画期的なアイデアをたくさん創出していただきたいと願っています。
次回は、「発明原理ってアイデアは出るけど、画期的なアイデアがなかなか出ないよね?」という方への処方箋です。
片桐@IDEA