IDEA-TRIZ『Toolbox』第5回: TRIZで課題解決に取り組むとき、アイデアの”質”をいかに高めるか
こんにちは、IDEAの片桐です。
「発明原理」は、数あるTRIZツールの中でも、最も親しみ易く、アイデアがたくさん出るツールです。
前回のコラムでは、IDEAが開発したTRIZ発想支援ソフトウェア「IDEA-TRIZ Toolbox」の【40の発明原理】は、アイデア発想を強化するために、合理的かつ効率的な発明原理の選択と、発想に集中できる環境を意識してカスタマイズされているという話をしました。
しかし、実際に発明原理を使ってアイデア出しを経験した方からは、“アイデアの数はたくさん出たけど、ありきたりのアイデアが多く画期的なアイデアが少ないよね・・・”といった感想もよく聞きます。
今回はそんな方へ「アイデアの“質”をいかにして高めるか」についてお話します。
その1)アイデア出しは”質より量”。アイデアの”質”はアイデアの”量”できまります
氷山の水面から突出している部分は全体積の約10%と決まっています。
氷山の全体積が大きければ大きいほど突出部分の体積は大きくなり、高さも高くなります。
水面下のアイデアの”量”が、水面の上のアイデアの”質”を決める
優れたアイデア、画期的なアイデア、使えるアイデアも同じことで、アイデアの質は絶対的なアイデア量で決まる、といえます。
あなた自身や、身の回りにもアイデアマンと称される課題解決能力が高い方がいるかもしれません。
そうした人は水面下ではたくさんのアイデアを出していても、それらのアイデアは口にせず、水面上のアイデアだけ口にしているのであって、決して最初から質の高いアイデアを量産しているのではありません。
言い換えれば、多くのアイデアを生み出せるようになって、はじめて、アイデアの質が高くなる可能性が生まれてくるのです(たまに例外は起きますが)。
発明原理は半ば強制的にいろいろな角度からのアイデア出しを強要しますが、提案された発明原理からどれだけアイデアを出せるかは訓練、経験次第で大きく変わります。
なるべく多くの機会を設け、数人のブレスト形式でアイデア出しをして、お互いに切磋琢磨することをお薦めします。
一見すると使えないアイデア、取るに足りないアイデア、突拍子もないアイデア、そうしたアイデアもが氷山の基礎となって、質の高いアイデアを押し上げている様子をイメージしてアイデア出しを行ってください。
その2)アイデアは図解を入れ、右脳も使って発想する
「万能の天才」として名高いレオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、発明王エジソン、アインシュタインなど、天才といわれた人たちの多くはメモ魔として有名です。その中には文章だけでなく、図やイラストなどを使ってアイデアが視覚的に描かれています。
コンサルの現場では、発想したアイデアをポストイットに図やイラストを添えて書いて頂いていますが、アイデアを文章だけで記述したときに比べ、多くのメリットがあります。
- アイデアが記憶に残る
- 考えがまとまる(アイデアの完成度が上がる)
- 俯瞰することで新たなアイデアが生まれやすい
- 素早く理解、伝達できる
などですが、要約すると
- 右脳を刺激して脳の働きを活性化する
- (同じ時間であれば)図は文字の10倍の情報量を伝えられる
ということだと思います。
図やイラストを添えてアイデアを出す
- 従来は図やイラストはデータとしての扱いに難がありましたが、iPhoneの無償アプリ「Post-it® Plus(ポストイットプラス)」を使うと、75 x 75mmポストイットの情報をきちんと補正して取り込み画像データ化してくれるので、後の処理も劇的に改善されました。
ポストイットに描いた303件のアイデア
もし、これだけのアイデアが文字情報だけで書かれていたら・・・
アイデアは素材です。これらの素材を組み合わせて、革新的かつ実現性のある解決策(コンセプト)に磨き上げていきます。
アイデアをコンセプトに有効化していく次の工程のためにも、アイデアは図やイラストを添えて出していきましょう。
次の機会には、IDEA-TRIZ Toolboxのもうひとつの発想支援ツール【システム進化パターン】をご紹介する予定です。
片桐@IDEA