TRIZを最大限に活かしてAIにないクリエイティブ・スキルを身に着ける
こんにちは、IDEAの緒方です。
前回ご紹介した、AIにないクリエイティブ・スキルを身に着けることができるTRIZ。このツールを上手く使いこなすには“コツ”がいります。
多くの企業のマネージャーやエンジニアは「問題を解決するのにTRIZを使えば、自分達では気づかないようなアイデアが出るはず。」と誤解をしています。TRIZは、使えば答えが出るといった魔法のツールではありません。
TRIZは先人の知恵を借りて、自分達の経験や知識とも結合しながら、効果的にアイデアを産み出すツールです。これらの知恵や経験と結合し易くするためには、問題をシンプルにして明確にし、更に一般化する必要があります。
従って、TRIZの前段プロセスの「問題をシンプルにして明確にし、更に一般化する」ことが、実はTRIZの結果を左右する重要なプロセスなのです。このプロセスは詳細には、課題分析⇒原因分析、願望分析⇒問題定義、の3つのプロセスを経ます。
その中でも最初に取り組む「課題分析」は非常に重要なプロセスです。
私のTRIZコンサルではこの部分に多くの時間をかけます。課題によっては、コンサル全体の半分近くをかける場合があります。なぜなら多くの企業で、当初取り上げた問題と認識している部分が、開発者によって捉え方が異なっていたり、本質的にどの部分に問題があるのか明確でなかったりするケースが多いからです。
当方の「課題分析」のプロセスでは、下図の様な順番を経て問題を明確にしていきます。
- 特性要因図を使って、空間軸と時間軸の二つの視点で、悩んでいること気になることを全て挙げながら、問題全体を俯瞰し共有してから、時間・工数等の制約条件を配慮しながら取り組み範囲を決めます。
- 決めた空間及び時間の取り組み範囲について、機能S+V+Oで表現しながら、より詳細に空間部位、プロセスを順番に見ながら、本来のあるべき姿やその部位で起こる心配点、副作用を見ることで問題の本質に迫ります。
特に機能の記述は、空間と時間で問題を多面的に捉える、ツリー構造で記載することで抜けもれなく捉える、機能を考えることで、そにある部品や工程が、何のために存在しているかを真剣に考えることで、問題の本質を見るのに役立ちます。
多少時間がかかっても問題の本質が見えることで、それだけでも大きな前進となります。更にその本質的な問題の根本原因や理想形を原因分析や願望分析で深堀することで、TRIZの真価を発揮でき、的を射た有効な解決策が見つかります。
いかがでしょうか?とにかくTRIZを使って、今までにないアイデアを出したいと思っている読者の方も、ここは「急がば回れ」で「課題分析」をしっかりやって、TRIZの良さを体験してみませんか?
このやり方を身に着けて頂くと、あなたはAIにはできないクリエイティブ・スキルを駆使して問題を解決することができる人となり、将来に渡って会社にとって、世の中にとって貴重な存在になることは間違いないと思います。
緒方@IDEA