TRIZの「40の発明原理」をやさしく解説: 第1話『分割原理』
こんにちは、IDEAのコンサルタントの笠井と片桐です。
TRIZ(トリーズ)理論は、旧ソビエト連邦の特許審査官で発明家のゲンリック・アルトシュラー(Genrikh Altshuller)を中心に生まれました。彼らは1946年から1985年にかけて、最終的には200万件もの特許を分析し、発明や問題解決におけるパターンや原則を研究しました。
その分析を通じて、業種や分野を問わず、発明や革新における共通の法則性を見出し、それらを体系化してTRIZ「発明のための問題解決理論」を開発しました。
本連載「TRIZをやさしく解説」では、その中でも代表的な発想ツールである『40の発明原理』と『18の進化パターン』について、その内容と活用方法、およびアイデア発想の例を紹介していきます。
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『矛盾問題』と『40の発明原理』
矛盾問題
TRIZにおける矛盾問題とは、一見すると同時に満たすことが難しい、対立する要素や要求を指します。これらの矛盾はしばしば相反する性質を持ち、一方を満たすと他方が犠牲になるような状況を示します。
たとえば、製品やシステムを開発する際に、「速度を上げると精度が下がる」「コストを削減すると品質が低下する」といった矛盾が発生することがあります。
TRIZでは、矛盾は問題の核心であり、矛盾に注目して解決することが、革新的な解決策や新しいアイデアを見つけるカギとされています。
そして矛盾問題を解決するために、【矛盾マトリクス】や他のTRIZのツールを活用し、矛盾する要素や要求を整理し、それらを同時に満たす方法を見つけ出そうとします。
矛盾問題を解決するためのアプローチには、
- 両方の要求を同時に満たす新しい設計やアイデアを生み出すこと
- 不要な要素を取り除いて矛盾を解消すること
- 矛盾を解消するために外部の資源や影響を活用すること
などが含まれます。
TRIZの原則や手法を使って、矛盾問題を解決するための創造的なアプローチを見つけることが重要です。
【矛盾マトリクス】
TRIZの矛盾マトリクス(Contradiction Matrix)は、問題解決における矛盾を整理し解決策を見つけるためのツールです。
矛盾マトリックスには、39の基本的な特性による矛盾が”行と列”にそれぞれ並んでおり、ユーザーは特定の矛盾に対応する行と列を見つけ、それらの交差点で提案されている【発明原理】を参照して、問題を解決するためのアイデアを発想することができます。
【発明原理】
膨大な数の特許の分析を通じて、発明の過程に共通するパターンや問題解決の原則、異なる産業や分野で似たような問題に対処するために共通する戦略や考え方を発見し、これらを40の基本的な発明原理として集約しました。
これらの原理は、創造的な問題解決の手法やアイデアを提供し、さまざまな問題や矛盾に対処するための指針となります。
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『01 分割原理』
TRIZの中で、分割原理(Separation Principle)は、3番目に利用頻度が高い発明原理です。
この原理は、複雑な問題に対処する際、問題を単純化してより扱いやすい部分に分解することで、解決策を見つける手助けとなります。例えば、対象物を複数の要素に分割し、それぞれの要素を個別に改善することで、全体の性能を向上させることが考えられます。
『分割原理』を使うときの、発想の指針
- 物体を個々の部分に分割する。
- 物体を容易に分解できるようにする。
- 物体の分裂または分割の度合いを強める。
どのような矛盾に有効か
この分割原理が矛盾解消に特に役立つ主な特性パラメーターは次の通りです。
(冒頭の番号は、上述の「矛盾マトリックスの39の基本的な特性」の中の番号を示しています)
ここに示すような特性を向上させたいとき、あるいは何か別の特性を向上させようとするとここに示すような特性が悪化してしまうとき、分割原理は有用なアイデア発想の切り口(着眼点)になるでしょう。
34: 修理の容易性
システムの欠陥、故障、傷を修復する際の便利さ、快適さ、平易さ、時間などの品質特性。
32: 製造の容易性
物体/システムの製造や組み立てが容易、楽、簡単である度合い。
03: 移動物体の長さ
任意の直線状の寸法であり、必ずしも最長のものとは限らない。
33: 操作の容易性
大人数を要したり、多数のステップや特殊なツールが必要であるプロセス。
12: 形状
システムの外形、外観。
《事例》IDEA-TRIZ Toolboxより
例えば、下記の2例は、分割原理から発想できるアイデアの例です。
《発想のポイント》
分割する切り口をたくさん持っていると、多面的な発想が可能になります。
対象とするシステム、機能、要素、部品などをダメもとで強制的に分割してみる事が大事です。これにより今まで考えられなかったようなアイデアが生まれる可能性が高まります。
笠井・片桐@IDEA
「TRIZ(トリーズ︓発明的問題解決理論)とは何か︖
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