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研究開発者のテーマ創出力と課題解決力を組織的に強化する(第10回): 新規事業を創出するために、ターゲット用途の将来像(ニーズ・課題)を予測する


​​​​​​​​​​​​​​鹿倉プロフィール


こんにちは、IDEAの鹿倉です。


前回のコラムでは、最近クライアント企業とよく話題となる、「経営戦略と開発テーマとのギャップ」と、それに関連して開発テーマ創出にロジカルに取り組むためのアプローチについてお話しました。

今回は、そのアプローチを実践するための、IDEAの「テーマ探索プログラム」の流れと、新規事業のターゲット用途に関して、TRIZの9画面法を使って市場投入時期のニーズや課題を具体的に予測する方法を紹介します。




本連載コラムでご紹介した内容をまとめたダウンロード資料を用意しました。是非ご覧ください。


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本連載コラムの各回のテーマ
(リンクをクリックすると各回のコラムに移動します)

第1回 「Where/What/How」に、体系的アプローチで取り組む

第2回 アイデアを出し、課題を解決するための具体的なフレームワークが必要

第3回 限られた時間の中で、成果を出すためのフレームワーク

第4回 自社の技術(材料)シーズと、未来の顧客ニーズを繋ぐ

第5回 シーズドリブンQD手法とGoldfireを活用して、新規事業機会を探索する

第6回 ターゲット用途で事業化を目指すためのニーズ分析・課題抽出

第7回 ブレークスルーを生む革新的課題解決

第8回 バラツキを抑えて新しい技術コンセプトを具現化

第9回 具体的な開発テーマが決まらない

第10回 新規事業のターゲット用途の将来像(ニーズと課題)を予測する






目次[非表示]

  1. 1.”「機能」で考える”目的別課題解決プログラム
  2. 2.テーマ創出プログラムの手順と、従来の課題
  3. 3.TRIZの9画面法を使って、ターゲット用途の将来像(ニーズ・課題)を予測する
  4. 4.9画面法で戦略領域の未来用途を探ってから、自社のコア技術との接点を探すアプローチも可能





”「機能」で考える”目的別課題解決プログラム


“「機能」で考える”目的別課題解決プログラムは、開発プロセスにおける様々な課題解決を、経験や勘に頼らずに合理的、創造的、そして効率良く考えるためのプログラムです。

プログラムは、開発テーマの探索、商品企画(QFD/UXデザイン)、技術課題の解決(TRIZ)、コストダウン、品質・安全リスクの回避、特許強化など、多くの開発者・技術者が直面する課題(目的)別に整備されています。

各プログラムの入り口は、“「機能」で考える”課題設定・分析で統一されているので、すべてのプログラムがシームレスに連携します。

開発が進むにつれて、異なる課題(目的)に取り組む際も、考え方が途切れることがありません。例えば商品企画を考えたときの分析過程や結果が、製品化におけるコストダウンを考える上でも、そのまま有効活用できます。

基本となる考え方が統一されているので、様々な段階でプロジェクトに関わる、エンジニア・マネージャにとって、開発課題を表し・考え・理解するための「共通言語」になります。

また各プログラムの課題分析ツール・ワークフローが、iQUAVIS IDEA Package ソフトウェアとして実装されているので、開発者や技術者はiQUAVIS IDEA Packageのツリー画面やワークシート画面で分析を進め、それらを関係者と共有しながら、効率的に課題に取り組むことができます。

近年、クライアント企業からは、自社が保有する技術をしっかりと棚卸しして特徴を把握し、新しい適用用途をロジカルに、そして先入観に囚われずに幅広く発想したいとの意図から、新規事業テーマとそれを実現するための開発課題を見究める「テーマ探索プログラム」のコンサルティングの依頼が増えています。




機能で考えれば開発課題は一気通貫に繋がる



「機能」で考える”目的別課題解決プログラムの概要を、10分間の動画で紹介します。

  資料ダウンロード|目的別課題解決プログラム(紹介動画) “「機能」で考える”目的別課題解決プログラムは、製品開発プロセスで取り組むべき様々な課題を、合理的、創造的、そして効率良く考えるための体系的アプローチです。 プログラムの概要を、10分間の動画で紹介します。 株式会社アイデア

”「機能」で考える“目的別課題解決プログラムを効率良く実践するための支援ツール「 iQUAVIS IDEA Package」 の概要を、15分間の動画で紹介します。

  資料ダウンロード|iQUAVIS IDEA Package(紹介動画) iQUAVIS IDEA Packageは、”「機能」で考える“目的別課題解決プログラムを効率良く実践するための支援ツールです。各プログラムの課題分析機能とワークフローがソフトウェアツールとして実装されています。 iQUAVIS IDEA Packageの概要を15分間の動画で紹介します。 株式会社アイデア



テーマ創出プログラムの手順と、従来の課題


従来、IDEAの「テーマ探索プログラム」は、次のような手順で進めていました。

  1. 自社の強みとなる特徴技術を分析する対象範囲を検討します(対象範囲としては、製品や要素技術だけでなく、それらをつくる工程、顧客接点を含む自社のサービスや社内の業務工程など、多様な対象が考えられます。プロジェクトの目的や工数の制約を考慮して、対象範囲を検討します)

  2. 対象範囲の技術を、それが生み出す”機能”で表現し、競合や代替技術の”機能”と比較して、自社の特徴(得意)技術が何なのかを特定します

  3. 探索ロジックツリーというツールを使い、自社の特徴技術の機能を、より一般的で本質的な表現に展開しながら、従来の用途に囚われずに、その機能が活かせる用途候補のアイデアを広範囲に発想します

  4. 多くの用途候補のアイデアを、戦略・技術視点で評価し、ターゲット用途を絞り込みます。



本来この1~4のプロセスだけでも、十分にロジカルな探索の進め方と言えましたが、実際にクライアント企業とコンサルティングを進める中で、次のような課題があることが分かってきました。

  • ターゲット用途は、既存製品とは異なるまったくの新規事業分野となる場合が多く、顧客や競合の状況、周辺技術に関して知見や経験が乏しく、新たに参入するには見えないことが多すぎる

  • 新たに開発する製品を実際に市場に投入するまでには、様々な課題も予想され、開発期間も長くなる。その間に世の中のニーズや環境も変化するのでは?、そんな未来への漠然とした不安がある

  • これら二つの不安材料を社内の上位マネジメント層から指摘されることもあり、社内への説得力が乏しく、ターゲット用途への確信が十分に持てない


そこでこうした課題に対応するために、TRIZの9画面法と呼ばれるフレームワークを応用することで、新規事業のターゲット用途に関して、市場投入時期のニーズや課題を網羅的、具体的に予測する手順を追加しました。


テーマ探索プログラムのフロー(9画面法)



TRIZの9画面法を使って、ターゲット用途の将来像(ニーズ・課題)を予測する


TRIZの9画面法とは、時間軸と空間軸の二つの視点の組み合わせから、次世代の製品のアイデアを発想したり、課題解決のアイデアを発想する方法です。

その構成は3×3のマス目 (9画面) を書きます。
横軸は、例えば「10年前、現在、5年後」といった時間軸となります。
縦軸は、真ん中が対象となるシステム、上がそれを取り巻く環境などの上位システムで、下がそれを構成する要素技術や工程技術などとなります。


TRIZの9画面法のイメージ



9画面法の基本的な構成は上の図のようとなり、目指す【未来の対象システム】 以外の8画面の情報を埋めることにより、上下の空間構造、左右の時間トレンドから、最適な【未来の対象システム】 を予測、発想しようとするものです。

「テーマ探索プログラム」では、絞り込んだターゲット用途について、用途を取り巻く環境や法規制、ライフスタイルなど上位システムの変化、一方で要素技術などの下位システムの変化を調査することで、ターゲット用途の「未来のニーズ(願望)や課題」(9画面法の【未来の対象システム】)を予測していきます。


9画面法による未来ニーズ予測



プログラムにこのステップを導入したところ、次のような効果が確認できました。

  • 9画面の縦軸(上位・対象・下位)を作成、調査していく過程で、未知のターゲット用途や製品を取り巻く環境、応用製品、関係要素技術に関する知見が深まり、未知への恐怖が薄まり、どんな技術が必要か見えるようになった

  • 横軸に沿って、取り巻く環境や顧客がこれから先の未来にどのように変化するかを、過去から現在までの大きな変化から予測することで、市場投入時期の顧客ニーズや技術課題をより明確に把握できるようになった

  • 時間軸と空間軸の両面からターゲット用途を多面的に把握することにより、新規事業のテーマとそれを実現する上での研究・開発課題をロジカルに、より説得力を持って説明できるようになった。



9画面法で戦略領域の未来用途を探ってから、自社のコア技術との接点を探すアプローチも可能


今まで紹介したプログラムの流れでは、自社の特徴(得意)技術(が生み出す機能)を見究めて、それらを起点(シーズ)として、新規事業機会に繋がるような新しい用途を探索し、用途のアイデアを十分に広げてから、自社の事業戦略や技術視点でターゲット用途を絞り込んでいきました。

もう一つのプログラムとして、自社が重視している戦略的な事業領域からスタートし、まずはその事業領域においてどのような用途が重要になるかを9画面法で予測してから、探索ロジックツリーを使って、予測したそれら未来用途と、自社のコア技術との接点を探っていく、というアプローチもとることもできます。



9画面法は、未来を予測するために、何を調査すればよいか、どのような視点で考えればよいかを明確に示してくれるフレームワークです。

この9画面法を「テーマ探索プログラム」に応用することで、テーマ探索に取り組む研究者や開発者はもちろん、説明や提案を受ける関係者や上位マネジメント層の納得感が増すことも大きなメリットです。

また新規事業の創出においては、環境や自社事業戦略の変化など、テーマ実現に向けて開発をスタートさせた後に軌道修正する状況も十分に起こりえます。

そんなときに、自社技術の強みの把握から始まり、どのようにテーマや課題を抽出したかまでを体系的に、ロジカルに見える化しておけば、そうした変化に応じて、「自社のテーマにどのような影響があるか、何を変える必要があるのか、何は変える必要がないのか」を関係者ですぐに討議することができるのも、こうした体系的な「テーマ創出プロセス」を導入することの効果と言えるでしょう。


鹿倉@アイデア


本連載コラムでご紹介した内容をまとめたダウンロード資料を用意しました。是非ご覧ください。

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​​​​​​​「機能」で考える”目的別課題解決プログラムの概要を、10分間の動画で紹介します。

  資料ダウンロード|目的別課題解決プログラム(紹介動画) “「機能」で考える”目的別課題解決プログラムは、製品開発プロセスで取り組むべき様々な課題を、合理的、創造的、そして効率良く考えるための体系的アプローチです。 プログラムの概要を、10分間の動画で紹介します。 株式会社アイデア

”「機能」で考える“目的別課題解決プログラムを効率良く実践するための支援ツール「 iQUAVIS IDEA Package」 の概要を、15分間の動画で紹介します。

  資料ダウンロード|iQUAVIS IDEA Package(紹介動画) iQUAVIS IDEA Packageは、”「機能」で考える“目的別課題解決プログラムを効率良く実践するための支援ツールです。各プログラムの課題分析機能とワークフローがソフトウェアツールとして実装されています。 iQUAVIS IDEA Packageの概要を15分間の動画で紹介します。 株式会社アイデア



鹿倉 潔
鹿倉 潔

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