コラム

クライアント企業と様々なプロジェクトに取り組んできたコンサルタントのコラムの他、
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「“コンサルタントに頼らない”段階までの5つのステップ ~ 人を変える、会社を変えるための開発プロセス改革の進め方 ~ 後編」


緒方さん


こんにちは、IDEAの緒方です。


前回は、”コンサルタントに頼らない”段階に至るまでの5つのステップを紹介しましたが、ステップを登っていく過程では様々な問題が発生します。
今回はそうした問題に対処する際のポイントを紹介します。


手法の浸透を図ろうとすると失敗する

科学的アプローチの代表手法としてQFD、TRIZ、TM(品質工学)があり、何れも開発効率を上げるのに有効な手法ですが、推進者の多くが、手法を気に入って、社内に広めたいとの思いから、手法の伝道者になろうとします。
しかし、「〇〇手法を使いましょう」と言っても、多くの開発者が拒否反応を示し、なかなか思うようには浸透しません。なぜでしょうか?


開発者から見ると、〇〇手法や□□技法は過去に沢山紹介され、トップダウンでもやらされ、試したが時間ばかりかかってご利益を感じたことは無い、身につかなかった、そんな苦々しい経験を持つ方は非常に多いのです。


そのような場合は、手法を前面に出すのでは無く、何ができるか? Before、Afterで何が変わるかを伝えた方が良いと思います。IDEAの目的別問題解決プログラムも手法よりも「何ができるか」に的を絞ったものですので、是非使ってみてください。


開発者の時間感覚を大事にしないと失敗する

科学的アプローチの方法の多くは、ロジカルに進めるために、時間をかけての分析も多くなります。「急がば、回れ」というのは理想なのですが、どこの企業でも開発者は開発業務や突発の不具合の対応に追われてまとまった時間が取れないのが普通です。そのような忙しい開発者に使ってもらうためには、学ぶ、試す、使う、相談する時間を開発者の隙間時間に合わせる必要があります。


以前私がいた会社の技術者は、概ね90分程度は会議などに割いていたため、隙間時間を長くて90分と捉えて、研修や相談の時間区切りを全て90分に統一したことがあります。
推進者は開発者を顧客と考え、開発者の立場で時間感覚を意識した取り組みをしないと、開発者は離れていきます。


小さく始めてたくさん回しながら、自分のものにする

前回ステップ3で使い倒す話をしましたが、1回受けたコンサルだけではなかなか身につきません。
自分たちの手を動かして、考えながら実際に使ってみないと、各プロセスを何のために使うか、目的に合った分析を行うにはどれ位の粗さ、範囲で行えば良いかが見えてきません。


そこで、まずは短時間で良いので、身近な小さな課題、テーマに使って、何度も回してみてください。
使う内にどのようなプロセスをどの位の粗さで何を使ってアプローチすれば良いかが見えてきます。また、科学的アプローチを使った効果も少しづつ掴めるようになります。会社や部門によっては、確認が甘い所、自分たちが見落としやすい所も次第に見えてきます。弱い所を科学的アプローチで補えれば、そこが皆さんの会社にとってのオリジナルのプロセスとなるはずです。


ボトムアップでもトップダウンでも上手く行かない

次第に科学的アプローチに慣れてきたら、慣れた方を中心に推進組織や推進者を置くと良いでしょう。
推進者は最初は他の業務と兼務で良いですが、次第に社外コンサルタントに代わり社内教育や自社に合ったテキストを作る時間が増えてきますので、専任できると良いと思います。


そもそもコンサルティング導入の決裁が上位マネジメント層なので、社内に科学的手法を広げたいとの思いが強いと、上位マネジメント層がトップダウンで「〇〇法を身に着けろ!」とやりがちです。しかし、トップダウンで推進を行った多くの企業は失敗しています。そのトップが去ると次第に活動が衰えた例は多く見かけます。


かといって、ボトムアップでは拡がりを見せません。若手エンジニアが手法を気に入って使いたくても、プロジェクトの人や時間の配分といった実務を担っているミドルマネジメントの理解が無いとなかなか実現できないからです。


従って、推進者を置くようになったら、ミドルマネジメントへの説明会や研修も小まめに行うことが重要です。特に科学的アプローチを使って出てきた成果は、直属の上司とドキュメントとして共有したり、複数のマネジメント間で共有する場(報告会)を設ける方が良いです。このようにして少しづつ科学的アプローチへの理解者を増やしていく方法が良いと思います。


少し広がりが出てきたら、トップも担ぎ出してみましょう。ただし、手法を使えというのではなく、「科学的アプローチを使って開発効率を上げよ。」と毎年同じ方針を出してもらうだけで良いです。この方針なら反対するトップは居ないでしょうから。
世代を超えて会社に科学的アプローチの考え方を根付かせるには、ミドルマネジメントがキーであり、その「会社を変える、社員を変える」やる気が推進の基になります。


以上、私の経験も踏まえて社内で科学的アプローチを展開していくためのポイントを紹介させていただきました。


IDEAでは推進者へのコンサルティングや推進方法へのアドバイスも行いますので、「会社を強くしたい、社員を強くしたい」と思っている皆さん、是非IDEAまでお問い合わせください。きっと皆さんの力になれると思います。


→このコラムの前編を読む


緒方@IDEA


→”機能で考える”目的別課題解決プログラムについて読む

→目的別課題解決プログラム支援ソフトウェア iQUAVIS IDEA Packageについて読む

→TRIZを含むオリンパス流科学的アプローチの推進 ~全社的な開発力向上と事業貢献を目指した取り組み~

→コラム 「開発現場のリアルな「困った」を解決するシステマティック・アプローチ ~ “「機能」で考える”目的別課題解決プログラムと、支援ツールiQUAVIS IDEA Package ~」を読む


参考書籍
“「機能」で考える”目的別課題解決プログラムの内容に関連して、緒方の著書2冊が刊行されています。

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緒方 隆司
緒方 隆司

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