「TRIZとは?(第2回) 背反問題を解決する」
こんにちは、IDEAの鹿倉です。
TRIZ(「トリーズ」、「トゥリーズ」:発明的問題解決理論)の中で、一般的に最も良く知られている考え方・ツールは、「発明原理」でしょう。
私が訪問した客先で、開口一番「TRIZって発明原理のことでしょう?知っていますよ」と言われることもあります。
このサイトに辿り着いた方の中には、「TRIZの発明原理」や、「TRIZの矛盾マトリックス」といった、TRIIZの発明原理に関するキーワードで調べていた方もいるでしょう。
TRIZ理論を構築した当時の旧ソ連の研究者たちは、膨大な特許や技術文献を調査して(分析した特許の数はなんと250万件!)、世の中では、
- ”どんな種類の問題が解決されているのか”、そして
- ”どんな解決のやり方があるか”
を調べました。
革新性の高い課題解決の多くは、「背反問題」を抜本的に解消することで生まれている
彼らの研究の結果のひとつが、「革新性の高い課題解決の多くは、妥協を排して背反問題の解消を目指すことで生まれている」ということでした。
背反とは、システムのある特性を良くしようとすると、別の特性が悪くなってしまう...つまり「こちらを立てれば、あちらが立たず」の関係のことです。
例えば、「旅行用スーツケースを持ち運びし易いように軽量化したら、強度が足りなくなった」、「スクリーンに投影された情報を見やすいように部屋の照明を暗くしたら、手元のノートの文字が見づらくなった」...等々。
こうした背反問題は、私たちの周囲の至るところに存在します。
そして、現実に、”背反問題(の解消)”は多くの商品やサービスにとって、「魅力の訴求」となります。
下の画像は、エースという旅行鞄メーカの「エアロフレックスライト」というスーツケースのサイトからキャプチャしました。
まさに、背反の抜本的解消「軽さと強さを両立」が訴求ポイントになっています。これが訴求ポイントになる背景には、「軽さと強さは同時には実現が難しい」という固定概念があります。その固定概念を解消(ブレークスルー)したからこそ、の魅力です。
この背反問題について、当時のTRIZ研究者たちが発見したことは
- 背反問題を妥協せずに抜本的に解消したとき、革新的な課題解決が生まれる
- 妥協しないためには、今までと違う何か新しいやり方(解決策)を発想することが必要。だからこそ、その新しいやり方のアイデアは、新しい「発明」に繋がる
- そうであれば、新しい課題解決のチャンス(機会)を探している人は、積極的に背反問題を探すべきだ
ということでした。
背反問題の解決には、普遍性のある発想の着眼点がある
でもここまでなら、「何も250万件の特許を読んだり、分析しなくても分かるのでは?」と思われるかもしれませんね...たしかにそうです。
でもTRIZはここで終わりません。当時のTRIZ研究者たちは、膨大な特許事例から、背反問題の解決について次のことを調査し、その結果を体系化された知識とツールとして整備したのです。
- 業種や分野の枠を超えて、そして時代を超えて、技術者たちは(技術分野には限りませんが)どのような特性の背反に取り組んいるのか?
- 業種や分野の枠を超えて、そして時代を超えて、背反問題の解決には、どのような発想の着眼点が使われているのか?
例えば、「軽量化しても、強度が悪化しないようにしたい」、これは、50年前も今も、そしてロケットの設計でも旅行用スーツケースの設計でも、文字通り業種・分野・時代を超えて取り組まれている背反問題でしょう。
もし今、「軽量化と強度の背反」に取り組もうとしているなら、TRIZを使うことで、「それだったら、こんな着眼点と、あんな着眼点で発想するといいよ。なぜなら今までも多くの技術者たちがこうした着眼点からアイデアを出して、その背反を解決しているから」、TRIZはそんな助言をくれるのです。
では、そんな背反問題の解決に対して、TRIZはどのように助言をくれるのでしょう?
次回のコラム「TRIZとは?(第3回) 発明原理で背反問題を解決する(入れ子にしてみたら?)」でご紹介していきます。
鹿倉@IDEA
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