アフターコロナで大きく変わる人々の価値観 その2(UX分析で顧客の潜在ニーズを引き出す)
こんにちは、IDEAの緒方です。
新型コロナウイルスによる顧客の新たな価値観の変化を掴むには行動から顧客の価値観を捉え、潜在ニーズに結びつける方法としては、UX(User Experience)があることを前回紹介いたしました(下図参照)。
今回は顧客が使う「モノ」から、使う行動の「コト」を分析する術について、もう少し詳しく説明していきます。UXはユーザー体験や行動分析という人間の本質的な反応に関する領域を扱うため、難しそうに見えますが、筆者は企業のエンジニアが顧客の体験をUXの考え方を使って、ある程度の再現性をもって製品やサービスの機能へと結び付けることができれば十分と考えています。
UXでは顧客の欲求を解決する行動や体験を「価値」を最上位にして「行動」⇒「操作」の階層で理想形として定義、表現する構造化シナリオ法というものが知られています。IDEAではこの考え方をベースに行動を機能の階層で表現することで、皆さんにも判りやすい形でUXニーズ分析を進められるようにしています。
例えば、清潔な状態で湯沸かしポットを使いたい人のべースにあるのは「健康であること」を重要と考える価値観です。また、「行動」とは顧客の活動全体のフローを記述し、例えば湯沸かしポットでは水で湯沸かしポットのステンレス槽を濯ぐような行動を表します。「操作」とは顧客が製品やサービスにコンタクトする操作のことで、例えばステンレス槽を濯ぐためにフタ部分を掴んでお持ち上げる等の、ユーザーの行動の中でもより詳細な製品との接点を表します。
顧客の行動と操作を時間順で表すと、時間的な機能ツリーの構造で表現できます。つまり顧客の行動や操作をある目的を持った機能(S+V+O)の集合体として時系列に表現します。機能により顧客のプロセスごとの目的を明確にしている点で、書き手による表現のバラツキを減らすこともできます。一方、「価値」は行動を生み出す最上位の顧客が重要に思う価値観を表すので、行動や操作に表れるニーズの根源に繋がる部分と言えます。
顧客の行動は、下図のように顧客の価値観によって変わります。もっと言うと、顧客の行動のゴールは価値観により変わります。例えば「お湯を沸かしてコーヒーを飲む」といった行動は「健康志向」の価値観を持つ顧客には、「清潔に火傷しないように安全にお湯を沸かしてコーヒーを飲む」ことであったり、「快適志向」で効率よく快適に過ごすことに価値観を置く顧客にとっては、「必要な量のコーヒーを早く沸かす」ことになります。
この価値観による行動の違い、背景にある感情を、行動や操作のプロセス毎に分析することで、顧客本人も気づいていないような潜在ニーズを引き出そうとするのがUXニーズ分析です。
アフターコロナで1つ1つの皆さんの行動はいつのまにか変化していませんか?
これをUXの考え方を使って詳細に分析することで、皆さんの意識していない潜在ニーズを知って次の商品開発に生かすことができるのです。興味ある方は拙著「製造業のUX」(日刊工業新聞社)を読んでいただくと、具体的な進め方を紹介していますので、参考にして下さい。また、UX分析のフローをソフトウェア化して、顧客の属性や価値観の設定から、機能による行動分析、背景感情、ニーズの想定まで分析できるようにしたのが弊社のiQUAVIS IDEA PackageのUXニーズ分析プログラムです。
アフターコロナで大きく変わる人々の価値観が大きく変わりそうな今こそ、それをいち早くつかんで皆さんの商品開発に使ってみませんか?このニーズ分析とTRIZを組み合わせて、誰も気づかなかった面白い商品やサービスを考えることができると思います。
緒方@IDEA
→前回のコラム「アフターコロナで大きく変わる人々の価値観 その1(変容するユーザの行動を分析し、価値観の変化と潜在ニーズを探る)」を読む